大判例

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広島高等裁判所 昭和30年(く)1号 判決

よつて考へるに、被告人に対し昭和三十年一月七日原審に起訴された建造物侵入未遂、公務執行妨害、傷害被告事件は、その起訴状謄本の記載によると、犯行地は下関市西細工町であり、被告人等のために公務の執行を妨害されたもの或は傷害をうけたものはいずれも下関鉄道公安室所属の鉄道公安職員であり、その数も十二名乃至三十名の多数に昇つておるのであつて、これら多数の人々を証人として取調べる必要にも迫られ審理の経過によつては現場検証等の必要も生ずることが予想せられる案件である。従つてかくの如き事件を遠隔地の裁判所において取調べをなすことになれば、証人の取調検証等の証拠調をなす上に不便であり、ために支障も生じ易く延いては審理の円満なる進捗も妨げられる虞が多分に存すること明らかであるから、原審が右被告事件を単に被告人に対する別件被告事件が係属していることを理由として広島地方裁判所に移送したのは適当なる処置とは認められない。殊に現在右被告事件については共犯者がすでに原審に起訴されている状態であるから、右被告事件は尚更これを原審において審理する方が適当であると認められる。

従つて、原審が刑事訴訟法第十九条により右被告事件を広島地方裁判所に移送したのは不当と認められるから、本件抗告はその理由があり原決定は取消を免れない。

(裁判長裁判官 岡田健治 裁判官 尾坂貞治 裁判官 大賀遼作)

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